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特集

電話回線がない地域でも双方向通信を可能に

ブラジルでは次世代のテレビ放送方式として、2007年12月に日本と同じ地上デジタル放送を採用した。電話を上り回線として使う地上デジタル放送は、家庭からさまざまな情報に手軽にアクセスし、"デジタルデバイド"を解消する手段として注目を集めている。しかし、ブラジルでは電話の普及率がテレビの普及率よりも低いため、電話網がない地域では双方向性が実現しない。そこで電力メーターから引き込んだ電力線を、地上デジタル放送での上り回線として使い、ネットワーク普及で最も難しいとされる各家庭までのアクセス回線、いわゆる“ラストヤード”を補おうというのである。「HD-PLC」だからこそ、それが可能になるわけだ。

「HD-PLC」モジュールを組み込んだ電力メーターの開発は、ブラジルの大手メーカーと、日本で「HD-PLC」モジュールを提供するパナソニック コミュニケーションズとの間で進んでいる。実験もブラジル北部の都市バヘリニャスで始まっており、2009年には本格的な実験に移行する予定だ。ブラジルの世帯数は約6000万にも及ぶため、各世帯にこの電力メーターが普及すれば、ブラジルは世界で最も「HD-PLC」を活用する国になる可能性が高い。

ブラジル北部の都市バヘリニャスでは、電力メーターにHD-PLCアダプターをつなぐプロジェクトがスタートした

ブラジル北部の都市バヘリニャスでは、電力メーターにHD-PLCアダプターをつなぐプロジェクトがスタートした

低予算で学校のPCをすべてインターネット接続

家庭と同様に情報格差の解消が求められる「学校」では、「HD-PLC」を活用した教育環境の整備がすでに始まった。ブラジルでは現在、全国約18万の公立学校にインターネット接続が可能なパソコンを導入するプロジェクトが進められている。このプロジェクト、一度に多数の機器を導入することになるため必要な予算は大きくなる。実際、一校あたりに必要な予算はネット回線の整備も含めて1万5000レアル(約100万円)とされており、実現にはかなりの困難が予想されている。

そこで設置コストの低減をはかるために、校内のネットワークに「HD-PLC」を活用しようとしているのだ。各教室を結ぶネットワークに「HD-PLC」を採用。親機のアダプターにはインターネット回線、子機には無線LANアクセスポイントをつなぐことで、すべてのパソコンをインターネットに接続できる。各教室の間にLAN回線を敷設する必要がなくなるため、必要な配線ケーブルの長さを大幅に減らすことができるなど、コストの削減効果だけでなく環境問題への貢献は大きい。既に2008年8月から試験的な設置が始まっており、2010年には5万校にまで、こうした「HD-PLC」活用によるパソコン導入が広がる計画だ。

生活環境の地域間格差は、ブラジルに限らず多くの国が抱えている深刻な課題だ。その解消手段として「HD-PLC」に着目したブラジルの取り組みには、世界各国の注目が集まっている。

学校内のLANに「HD-PLC」を活用。回線を敷設する必要がないので学校へのインターネット環境普及を低コストで実現する

学校内のLANに「HD-PLC」を活用。回線を敷設する必要がないので学校へのインターネット環境普及を低コストで実現する

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